
SMWS パートナー・バー
The Malt Room
信じがたいことだが、スコットランド・ハイランド地方の首都インヴァネスには、長らくウイスキー・バーが存在しなかった。そんな状況を変えたのが、2017年にチャーチ・ストリートにオープンした『The Malt Room』だ。この居心地のよいバーは、ウイスキーファンにとって、シングルカスクやカスクストレングス・ウイスキーの魅惑的な風味を存分に味わえる場所となっている。SMWSのパートナー・バーとして、まさにうってつけの存在だとダンカン・ゴーマンは語っている。
長年にわたり、スコットランド最北端の都市インヴァネスには、ウイスキー専門のバーがないことに、地元の人々も観光客も困惑していた。それは、『The Malt Room』の運営責任者ジョン・ドナルドソンにとっても、どうにも理解しがたいことだった。
彼はこう語っている。「インヴァネスで長くホスピタリティ業に携わってきましたが、いつも聞かれていたのが『ウイスキーを飲むなら、どこがいい?』という質問でした。」「でも、その質問に満足のいく答えを返せたことがなかった」とジョンは続ける。 「インヴァネスにウイスキー専門のバーを求める声が確実に高まっていました。だからこそ、地元の人にも観光客にも、もっと気軽にウイスキーを楽しんでもらえる場所として『The Malt Room』をオープンしたのです。ウイスキーの熱心なファンでも、これから初めて飲んでみようという人でも、誰もがくつろげるカジュアルな空間を目指しています。」
この温かみのある空間は、ウイスキー愛好家にも初心者にもぴったりの場所だ。450本を超えるボトルコレクションに、今回SMWSのウイスキーが新たに加わったことで、立ち寄るにはこれ以上ない絶好のタイミングとなっている。すべてのパートナー・バーと同様に、『The Malt Room』も、ウイスキーそのものと、その体験を通じて、ソサエティの魅力を味わわせてくれる存在だ。イギリス国内にある4つのメンバーズ・ルームと同じように、ここでもゲストは、豊かな知識と経験を備えたスタッフの手に導かれながら、それぞれの理想の一杯へとたどり着くことができる。
ジョンはこう付け加える。 「私たちが一番大切にしている価値観は、他の多くの店と同じで、『常にベストなサービスを提供すること』だと思っています。ただ単に“今月のおすすめ”を出したり、自分たちの好みを押しつけたりするのではなくて、まずはゲストと会話をして、その人の好みを探るようにしています。そこから、その人に合った一杯を提案するのです。」
「これまでに私たちは、SMWSの古いボトルをいくつか購入してきましたが、いずれも素晴らしいものでした。私たちのウイスキー・リストは常に入れ替わっており、その大半はシングルカスクかつカスクストレングスのウイスキーで構成されています。SMWSの基本理念は私たちの考え方と非常に一致しているので、パートナー・バーになることは自然な流れだったと言えます。」
『The Malt Room』での楽しみは、グレンケアン・グラスでシングルモルトをじっくり堪能するだけでは終わらない。季節ごとのウイスキーカクテルのラインナップは、お気に入りの一杯を新たな形で楽しめる、遊び心あふれる提案だ。 ジョンはこう語る。「ウイスキーが好きな人ばかりではないからこそ、誰もが楽しめるように工夫しています。地元の生産者にこだわりながら、幅広いラインナップを用意しています。私たちのカクテルメニューは季節ごとに変わり、ほとんどのカクテルには何らかの形でウイスキーを使っています。」
ウイスキーをカクテルにすることへの偏見なんて、まったくの思い込みだということを、ぜひ感じていただきたいですね。楽しみ方に正解はありません。自分が美味しいと思えるなら、それが一番です。」


『The Malt Room』でまず目を引くのは、そのコンパクトさです。メインのパブリックエリアにはわずか20席しかなく、すぐに満席になります。ジョンはこう続けます。「初めて来たお客様が一番驚くのは、たぶんこのサイズ感ですね!メインバーには20席しかなく、プライベートのテイスティングルームには16席あります。バーはすぐにいっぱいになって、他のお客様とテーブルをシェアしてもらうことも多いのですが、それがまたフレンドリーな雰囲気を生んでくれるのですよ。」
2021年の「ウイスキーバー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた『The Malt Room』では、年間を通して楽しいイベントが盛りだくさん。最近はSMWS・テイスティングイベントも新たにスケジュールに加わった。ジョンはこう話す。「さまざまな蒸溜所のブランドアンバサダーを招いたブランド主導のテイスティングを企画するだけでなく、当店独自のテーマに沿ったテイスティングイベントも開催しています。最近では、ディアジオの“マネージャーズ・ドラム”が特に好評でしたね。」
「また、当店のゼネラルマネージャーであるオリビアが主催する“Women in Whisky”という女性限定の月例テイスティングイベントもあり、ここ数ヶ月で着実にファンを増やしています。」
次にスコットランド北部を旅する機会があれば、ぜひ新たなパートナー・バーである『The Malt Room』に立ち寄って、ソサエティ・ウイスキーをじっくりと味わってみてほしい。