マスターアンバサダー

固く結ばれた絆

初期のソサエティで熱心なメンバーだったジョン・マクチーン は今、マスターブランド・アンバサダーとなって、ウイスキーとSMWSへの情熱を世界的に広めようとしている。

若い頃、私は学校とは別の場所でエスペラント語を学んでいた(アコーディオンも習っていたのだが、その話はまた別の機会に!)。

エスペラント語はハイブリッド言語で、世界中の人々が習得・採用し、共通のコミュニケーション手段を持つことで、知識や友情、異文化理解を追求するため一致団結することを目指している。

エスペラント語の話者は襟章を身に着ける。襟章は、コミュニティの一員であることを宣言するもので、相手の母国語を知らなくてもコミュニケーションを取れる能力があることを示している。というわけで、世界中どこへ行っても、襟章のおかげで見知らぬ相手でも自分と共通点があることがわかる。相手も同じだ。もしかしたら、この人工言語が相手とのたった一つの共通点かもしれないのだが。

エスペラント語は現在も使われているが、当初の構想やコミュニティのメンバーが期待した通りには普及していない。それは、リアルな感情に基づいていないからだ。基調となる情熱に欠けているからだ。エスペラント語を学んだ後で、私は真に情熱的でリアルなものと出会った。

強烈な啓示

この10年間で、多くの人が他国の文化や言語の学習に興味を示し、世界中を旅するようになった。また、鑑識眼を高めようという気風も広まった。特に食べ物とお酒が興味の対象となり、その中でもウイスキーが人気を集めている。そして、「スコッチ」はウイスキーのキャッチフレーズとして世界中で定着している。

1980年代、私はエスペラント語と同じく、襟章で仲間であることを示す人々の集まりを発見した。だが、このクラブは共通の対象への愛と情熱で集まった人々からなるコミュニティだった。自分たちの知識や情熱をともに分かち合い、新たに発見し、育む。それがザ・スコットモルトウイスキー・ソサエティだった。

私にとってそれは強烈な啓示だった。人生や愛、宇宙についての興味や意見とは無関係に他のメンバーとともに情熱を表現し、一体感を楽しみ、「ソサエティ」の実感を味わう。1983年にスコットランドで発足して以降、メンバーの数は年月を重ねるにつれ増え続けていった。1990年代初めに最初の海外支部が生まれ、今ではウイスキーを共通言語として25ヵ国に広がっている。

ウイスキーを発見する旅

それは、まさに旅と呼ぶにふさわしい。新旧の蒸溜所から毎月送られてくるボトルは、果てしなく続く体験だ。しかも、ただのウイスキーではない。ウイスキーが熟成する瞬間と期間のとても貴重でユニークな表現であり、ソサエティのメンバーであることを示す襟章を持つ者だけが所有できる逸品なのだ。すべてのボトルは他と違う個性を持っている。メンバーたちはフレーバーがもたらすひらめきを発見し、ともに分かち合う。多くのメンバーは、シングルモルトについて、それまでよりずっと深く理解できるようになったと言う。ソサエティのボトリングのおかげで嗅覚や味覚が磨かれ、さまざまな種類の木のフレーバーを認識できるようになったからだ。

ソサエティは、ウイスキー発見の旅への重要な第一歩なのだ。

この旅は、スコッチウイスキー以外のエクスプレッションやブレンデッドモルト、世界中のシングルカスクなど、ソサエティの絶え間ないイノベーションによって今も続いている。

メンバーは幅広いフレーバープロファイルを楽しむことができる。そして、革新的で創造性豊かな熟成プログラムを通じて、ソサエティが同じ新しいスピリットからこれだけ多くのプロファイルを生み出していることを称賛するだろう。蒸溜の正確な日付が、メンバーの人生における重要な一日や記念日と一致した時には、さらに興奮が増す。

他と一線を画すウイスキークラブ

ソサエティのメンバーズルーム、パートナーバー、あるいはメンバー仲間の家での会合で、会員たちはウイスキーへの情熱や、『アンフィルタード』誌やポッドキャスト、ソーシャルメディアから得た知識、エンターテインメントを共有する。蒸溜所についての有用な情報や、ウイスキーの世界を広げてくれる新たな知識を得ることもできる。また、メンバーやソサエティのスタッフと一生の友情を築き、ソーシャルメディアやイベント、フェスティバル、集会などを通じて人脈をさらに広げよう。これは普通のウイスキークラブではない。フレーバー、友情、そして楽しみを現在進行形で体験できるクラブなのだ。ウイスキーへの愛からすべてが循環していくのである。そして、それをこうして分かち合うことがメンバーにとって大きな意味を持つことも素晴らしい。多くのメンバーは、友人と一緒の時しかウイスキーを嗜まないからだ。

だから、私はこの襟章をこれだけ長く身に着けていることを誇りに思っている。今では、海外のイベントなどで新旧3つの襟章をすべて付けることもある。私は、ウイスキーとSMWSが私と私の人生の一部となっていることに喜びを感じている。最初はメンバーとして、そして今はアンバサダーとして。エスペラント語を学んでいた若い頃を思い起こすと、私は自分とソサエティのメンバー、そして世界中の友人たちを結びつけてくれた本物の「言語」を見つけたことに感謝する。もしあの頃に戻れるとしたら、私はエスペラント語の先生に蒸溜所コード29のラージグラスを差し出し、違う襟章をつけてみてはどうかと誘うだろう。そうすれば、私たちは同じ「言語」を話せるからだ!