フレーバーが息づくところ

スパイシー & ドライ

休暇中だったりどこか素敵なところで夏を過ごしたりしている今はフレーバーの王国へ旅する絶好のタイミングだ。 ジュリアン・ウィレムスが解説するように、スパイシー&ドライのプロファイルの一杯は、感覚の白日夢の完璧な形だ。

夏の休暇は思いつきでもかまわないが、大抵は理想的な一番望ましい場所への旅を確保するためにきちんと計画を立てる。 冬の間(スコットランドに住んでいれば夏の間も…)、多くの人が夢見るのは暖かさと夏を感じるフレーバーで、スパイシー&ドライの酒には豊富に含まれている。

ウッディとエキゾチックなスパイスの香りが豊富なこのプロファイルは、すぐには枯渇しない美味しい御馳走の川を形成する。様々なアロマの小川が合流して、個性的で予測できない体験を作りだすのだ。

すべての水源は当然のことながら蒸留酒で、ラムとレーズンのようなフレーバーで説明できる。どちらも同じようにエステルに豊富に含まれている要素だ。 ご存知のように、エステルはウイスキーの中でフレーバーに関与している化合物で、フルーティなフレーバーと関係していることが多い。 この化合物はウイスキー製造の際、イースト菌による麦芽の発酵過程で形成される。

他のフレーバー・プロファイルと同様に、シトラスやアップルからマンゴーやパイナップルまであふれんばかりのアロマと大いにかつ特徴的に関係している。 そして確実なことがある。カスクの1つがスパイシー&ドライのプロファイルにあるすべての蒸溜所には、例外なく他にもっと強烈なフルーティのプロファイルを持つカスクがある。 このフレーバーの謎の真相を探るには、船に飛び乗り、古き良き木製ウイスキー船が私たちを連れていく、その行き先を見てみよう。

化合物の影響

川を下る航海の最初の寄港先はスパイシー&ドライのウイスキーにおけるスパイスの影響だ(クローヴ、サンダルウッド、ナツメグを思い浮かべてほしい)。 これらのフレーバーを抱えている可能性が高いのはまさしくカスクだ。

スパイシー&甘いのフレーバー・プロファイルで論じたように、ウイスキーのスパイスっぽさには、アルコール強度とさまざまなフレーバーに関与する化合物の両方の影響を再編できる用語のいずれも当てはまるような感じがある。

化合物の中でもいくつかはスパイシーなアロマとリンクしていることが分かっている。 オイゲノールは一般的にクローヴやクローヴオイルと関連している一方で、グアヤコールはより広範囲のスパイスとスモーキーな特徴に関連しているとされている。 これらの化合物は木材の主成分であるリグニンに由来している。

カスクが熱処理される際に、リグニンはバニリンと、オイゲノールやグアヤコールのような他の化合物に分解されるが、相対濃度はオークの熱処理の方法によって異なる。 他のフレーバーとの間で生じる相互作用で、私たちがスパイシーと知覚するアロマのスペクトラムが作られ、私たちを感覚の川のさらに下流、エキゾチックで日光が降りそそぐ緯度まで運んでいく。

カスクが熱処理される際に、リグニンはバニリンと、オイゲノールやグアヤコールのような他の化合物に分解されるが、相対濃度はオークの熱処理の方法によって異なる。

タンニンの話

さらに下流に行くと、森に出くわすので、調査のために上陸してみよう。 暑い夏の日に1本の木に寄りかかる姿を想像してほしい。深呼吸して、周囲にどっぷり浸かってみよう。

なじみ深い匂いがする―たぶん、樹皮だろうか? そうしたアロマは往々にして特に口当たりに関する説明と関連する。例えば歯茎が乾くようなとか、やや粉を吹いているようなとか、粉っぽいとかで、通常はタンニンと関連しているのだ。 タンニンはブナ科の木すべてに存在しているが、その濃度は木の種類によって違うし、森毎にも違う、さらには同じ森でも木によって違う。

だから以前にもっと甘い、ココナツとバニラのフレーバーと関連していると話した、信頼できる<Quercus alba>

アメリカンオークのバーボンカスクで熟成されたとしても、その結果スパイシーでドライなウイスキーができる可能性も大いにあり、それはカスクの構成要素によるものである。

桶職の仕事

この最後のポイントを胸にとどめて、旅を続け、空き地にいる桶職のところへ行こう。 2014年以降にソサエティでボトリングしたカスクの記録を見ると、いくつかの蒸溜所によるスパイシー&ドライのウイスキー(13、41、44、77を含む)の大半はバーボンカスクを使っている(ファーストフィルかリフィルかは大体同じ割合)。

以前にも、桶職は、特定のフレーバーに近づけるカスクを製造するために、正しい樽板と正しい熱処理レベルを選択する大きな権限があると説明した。 これは興味深い。スコッチウイスキーの蒸溜所はパートナーのバーボン蒸溜所から空けたばかりのバーボンカスクを購入する取引をすることがよくあるからだ。

そこからバーボン蒸溜所の桶製作の選択とウイスキー製造業者が自分たちのバーボンカスクで熟成したウイスキーにスパイシー&ドライの香りの外套をまとわせようとしている高い傾向の間につながりがありそうだと想像するのは容易い…。

スパイスと太陽

だがこうした考察は後ろに置いて、私たちは川に戻り、さらに下流へ進んで、在庫豊富なバーを備えた人里離れたヴィラに行ってみよう。

全体的に見て、このプロファイルのウイスキーは以前バーボンやシェリー、ワイン(ドライもスイートも強化ワインも)、あるいIPA(インディアペール・エール)やラムを熟成させるのに使った様々なカスクから作られる。 人は多様性が人生のスパイスだと言うが、このプロファイルは確かに特定のポイントを刺激する。 多面性があり網羅するのは難しいスパイシー&ドライだが、それでも飲む人をスパイスと太陽の王国の旅へと誘う。

だからあなたがまだ夏の休暇を取っていないのなら、あるいは冬の憂鬱に打ちのめされているのなら(南半球の会員諸兄のように)、遠い土地のスパイシーな料理とそれに合う一杯と共にフレーバーの現実逃避に身を任せ、心が追い求める場所へと感覚の旅に出かけてはいかがだろうか。

スパイシー&ドライの香りをお試しください。

スパイシー&ドライの対極にあるものをお探しの方