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ニコラ・リスケ

業界インサイダー

ニコラ・リスケ

ニコラ・リスケは10年以上にわたり、エドリントンとマッカランのアンバサダーとしてウイスキーへの情熱を人々と共有してきた。私たちSMWSのオランダ・アンバサダーであるモニーク・テン・コルテンナーがニコラと対談し、彼女の道のりと、ウイスキーの理解と評価を高める方法について聞き出した。

MtK: まず あなたの人生にウイスキーが入りこんだ経緯を教えてくれますか、ニコラ?

NR: うれしい偶然でした!私はマーケティング分野で働いていて、その仕事がウイスキーへ連れていってくれたのです。フレーバーやアロマ、その特徴について紹介されたので、勉強したり質問したりするようになりました。それから旅をしてスコットランド、アイルランド、ケンタッキー、メキシコ―あらゆるところの蒸溜所を訪れました。

継続して学びたいという点でいえば、ここまで深くハマってしまうとは思ってもいませんでした。本当のところ、学べば学ぶほど、いつも新しく学ぶべきことがあると気づきます。それがこの不思議な蒸留酒の美点の一部です―永遠に疑問があって、永遠に発見があるのです。

ブランド・アンバサダーになりたいという強い気持ちに気づいて、一生懸命勉強して、2012年に遂にエドリントン、そしてマッカランの一員になりました。マッカランのキャリアはニューヨークで地元のウイスキー・アンバサダーとなったのが始まりで、それからずっと勉強を続けてきました。蒸溜の一般教育修了資格を獲得し、今はWSET(ワイン&スピリッツ・エデュケーション・トラスト)のレベル3に取り組んでいます。2016年には、マドリッドに転居する機会を得て、ポルトガル、イタリア、スイス、ギリシアなどの国で仕事をしました。というわけで、スペインに移り住んで、過去を振り返ることはありません。

MtK: ウイスキー教育という点でのあなたの役割はどういうものですか?

NR: 私たちにはグローバルエデュケーション・リーダーシップチームがあります。ブランドアンバサダーがマッカラン、ウイスキー、教育にまつわるすべてを楽しく自信を持ってできるように、ウイスキーはすべての人のために存在し、マッカランを楽しんでほしいという美しいメッセージを前面に押し出せるように、もちろん責任を持ってそれができるようにするのがチームの仕事です。フルタイムのブランドアンバサダーがいない国がいくつもありますので、私はそういうところにも行きます。

マッカランとウイスキー全般について人々に教え、啓蒙するという点でいえば、自分のチームと一緒に働いて、メンバーが積極的に取り組み、ブランドとウイスキーについて理解できている状態にしています。第三者となる販売代理店、いろいろなブランドのマネージャー、営業担当者、それから同業者とも協力して働いています。刺激を与え、会話をして繋がり、何が課題か理解することが私の仕事です。カクテルで楽しんでいるのか、ウイスキーをどんな方法で楽しんでいるのか、私がどうしたら一番力になって、マッカランの美点を発見するお手伝いができるのか。

そしてもちろん一般の皆さんがいるわけで、鼻と舌を微調整して、ぴったりの瞬間にぴったりのウイスキーを見つけるお手伝いをしています。

MtK: 蒸溜酒としてのウイスキーに惹かれる理由を教えてください。

MtK: 蒸溜酒としてのウイスキーに惹かれる理由を教えてください。そして嗅ぐこと、味わうことは、とても感情的なことです。ウイスキーについて気に入っているのはそこに芸術があり、科学があり、工学までも存在すると理解しているからです。そして充分に理解したと言える日が来ない点も気に入っています。グラスを鼻まで掲げて、そうした疑問を自問しながら、液体を理解しようと努めています。それにもちろん、友人との1杯を楽しんでもいます。

初めてウイスキーの世界に入ったときは、すべての答えが欲しくて、それも明快な答えを望んでいました。ウイスキーの良さは、正確な化学ではないと悟ることです。

MtK: 好きなウイスキーやスタイルはありますか。

NR: いいえ!世界には嗅いでみたい、味わってみたい素敵なウイスキーが多過ぎます。人生で驚きのウイスキーを味わったことがあるかですか?もちろんです。特別なお気に入りを見つけたか、特別な瞬間があったかですか? もちろんです。でも私はいつも次に自分のグラスにあるもの、目の前にあるもの、提供されているものにワクワクします。

MtK: 特定のプロファイルや特定のウイスキーを表現するヒントやコツはお持ちですか。

NR: 人が初めてウイスキーを嗅ぐときに、私は必ずにっこり笑ってと言います。実際そうすると、口が開き、唇が離れるので、匂いを嗅いだり味わったり、デリケートなものに近づくときに嗅覚が活発になるのです。

適切なノージンググラスも使ってください。世間には様々なタイプがありますし、皆さんの好みもあるでしょうが、上質のノージンググラスを見つけてください。最大のアドバイスの1つは、ウイスキーに水を加えることを恐れないでほしいということです。ウイスキーにとっての水は、ワインにとっての酸素のようなものです。ウイスキーの魅力が溢れます。ウイスキーを変えるのです。魔法の利く範囲はアルコール度数15~30%で、その範囲だと、コンジナー、基本的には様々なアロマが本当に踊り始め、花を開かせます。

上:ニコラは、水は常に蛇口から採るべきだと考えている。

それと、 あちこちで物の匂いを嗅いでみてください。様々なスパイスを売る市場へ行って、思い切り活用してみましょう。いろいろな種類のレモンを手に取って、その皮の匂いを嗅いでみたことはありますか。柑橘系でいうと、ベルガモットとレモングラス、レモンバーベナはまったく違います。

MtK: 女性の方が男性より嗅覚が優れていると思いますか。

NR: そうですね、科学は女性が優れていると示しています。科学がそう言うのであれば、私もそちらに賛成します!

MtK: 女性だけのテイスティングイベントが必要だと思いますか。

NR: 私は気に入っています。楽しんでもいます。私は女性が一堂に会して、席に着き、楽しい会話を交わして、グラスの匂いを嗅いで、一緒に発見する素晴らしい機会が大好きなんです。

ウイスキーや蒸溜酒、カクテルは一方の性に限られたものではありません。それを理解し、ウイスキーはすべての人のためにあると納得することが重要です。長年にわたりウイスキーのイベントは往々にして男性に非常に偏っていましたよね? 初めてウイスキーの世界に足を踏み入れようとする人や、女性にとっては、怖気づいてしまう状態かもしれません。女性だけが繋がり、ネットワークを作るイベントを開催するのは素晴らしいことですし、女性だけが一緒に集まると、会話も違います。

MtK: 最後に、蒸溜酒業界でキャリアを積みたい人に向けてアドバイスをいただけますか。

NR: 常に好奇心を持って真剣に取り組んでください。謙虚でいてください。ダメと言われても諦めないでください。私は情熱がすべてを決めるという考えを信奉しています。そして何よりも情熱が個人としての人を決めると考えているのです。